双極性障害・ASD・ADHD

生活上の双極性障害への工夫について

オリンピックと観光立国

昔、長野オリンピックというものがあった。

もちろん、自然破壊が問題になり、反対運動もあったものの、おおむね、住民は、外国の人がたくさんやってくる!ということで、わくわくして、出迎えて、ボランティア活動も、わたしの場合は強制されることもなく、周りを見ると、したい人がしていた、という感じだった。

誇りにしていた。

 

オリンピックはすごく楽しくて、見たことがない人たちや、楽しそうな雰囲気、ゼネコン関係は潤い、飲食店も、世界中の国旗を飾って、歓迎した。観光産業に携わる人はかなり儲かったようだ。

 

 

もともと、長野県は、観光に力を入れていたから、有利な点があった。

七年に一度の御柱で、一気に大量の人が来ることに慣れていたこと。

 

しかし、オリンピック後、長野市はゴーストタウン化した。

タイミングも悪かったと思う。

しかし、施設の維持費にとてつもない金がかかった。そうして、長野県税や市税は、日本で五本の指に入るほど高額になった。

今思うと、それでも、公共サービスを落とす方向よりも、税金を高くして、街づくりや福祉、教育に力を入れたことはよかったと思う。

 

長野の観光地は、まず、小布施町が立ち上がって、「動線」を作り、住民が協力して、きれいな街並みづくりをする、巡回バスで小布施町のすべての観光地、おいしいお店に回れる、というシステムを作った。それは、たまたま地主に相当する人がかなり賢くて、その人が主導になってやったと聞いている。

それが功を奏して、愛知や大阪、関西圏からの観光客を生み出すことになった。大型バスで、たくさん来る。

そして、それによって潤ったお金は、住民に還元される。そういう仕組みが作られた。

五次産業、というキャッチフレーズで、団結してしたようだ。

 

その後、どの町も、村も、町おこしに力を入れるようになった。

杏の花の咲くところに、名前を付けたり、信濃町だったら、トウモロコシの屋台を出すお祭りをしたり。

 

 

一番大きな成功を収めたのは、地獄谷のサルだろう。

メキシコに旅行したとき、そこにいたカナダ人が、日本は知らなかったが「長野の温泉に入るモンキー」は知っていたことに驚いた。

日本の場所を知らなくても、長野はオリンピックがあり、そして、温泉に入るサルがいる、ということは知られていたのだ。

 

 

確かに、地獄谷(湯田中)は、ひなびたところだが、人種問わず、たくさんの外国人観光客がいた。

たまたま話しかけたアメリカ人女性も、外湯に入って、楽しんでいたようだった。

温泉マナーも事前に勉強していたようだった。

また、その秘境じみたところが、面白いということだった。

 

山もあるので、スキーに来るオーストラリア人、登山に来る人たち、そういう人たちもありがたい。

 

 

わたしの知っている限り、北信では、どこも、ベンチを置いている。ちょっと休める場所、公園を大事にしている。

外国の人は、そういうところで、座って、テイクアウトしたものを食べるのが好きみたいだ。

今も、善光寺に続く、表参道には、ガーデニングや、提灯、赤い布が敷き詰められたテーブルなどが置いてある。

そういうことはとても大事だ。

 

また、時代に合わせて、商品開発も常にしている。

例えば、八幡屋磯五郎では、マカロン、ジェラード、チョコレートなど、研究所を作って、七味唐辛子を使った、若い人向けの商品を常に開発している。

 

あまり有名ではないかもしれないが、長野は、ワインや、日本酒の製造が盛んである。

おいしいお酒が安価で飲める。水源もよく、乾燥した土地なので、酒造りに向いている。それは、昔からそうだったのだが、瓶のパッケージに気を配ったり、シードル、アルコールなしの酵母から作った甘酒、果物の酢など、飲めない人にもアピールする商品を作っている。

 

(もし、いらっしゃったら、楽しんでください)

 

 

観光産業というのは、世界情勢に非常に関係する。

世界が不況だと、来なくなる。

ホスピタリティに欠けていても、やはり、来なくなる。

ホスピタリティも、みんなが協力して、年々向上するようにしないと、世の中の動きに取り残される。

長野新幹線ができてから、日本人はほとんど日帰りするようになってしまった。

だから、今大事なのは外国人観光客だ。

わたしも、道を聞かれたら、英語で案内するくらいのことはするし、困っていそうだったら手を貸す。

 

 

飲食店でも、英語で接客することは、当たり前になりつつある。サラリーマンよりも、たぶん、接客業の人のほうが、英語を使う機会がある。

 

 

それで、心配なのは、東京だ。

話を聞いていると、オリンピックが終わった後の借金地獄を甘く見ている気がする。

本当に税金が上がる。長野オリンピックから、もうすでに、二十年以上たっているけど、それでも財政難だ。人口減で、税収も下がる。

東京は、長野よりももっと、速やかに高齢化が進むだろう。公共サービスの低下は、実際に経験してみないと、その恐ろしさが分からないのかもしれない。

東京には、ベンチや公園など、少し休むための、無料の場所がそもそも少ないのに、その少ない場所も、建物を建ててしまうようだ。

そうすると、一度東京を訪れた海外の人たちにとって、魅力があるから、また来たい、と思ってもらえるのか、心配になる。

 

 

オリンピックは、儲かるのは、オリンピックが来る前までだ、と思っていたほうがいいと思う。その後、借金とどう向き合うのか、ちゃんと考えないと、どんどん苦しくなる。

 

東京は、地震津波のリスクが高いだけじゃなくて、二次災害の大きさも、田舎の比ではないだろう。それを恐ろしいと思っている海外の人は多いんじゃなかろうか。

(長野が災害に遭っても、国はあまり積極的に救助に来ない。栄村は、無視されたし)

 

 アジア人差別と、どう向き合うかも大切だ。

日本人もアジア人なのに、アジア人を差別する日本人は多い。

長野に来る、中国人、韓国人を見ると、地元の人間よりも、ずっと身なりがよく、マナーもよい。

国力はすでに追い抜かれているといっていい。

豊かさでも負けている。

自分よりも下だと思っていたかった人々が、自分たちよりも豊かだ、ということに、彼らは耐えられるんだろうか。

また、ヘイトをむき出しにしていたら、それがますます知れ渡ることにもなると思うのだけど。

 

彼らはとてもいいお客さんだ。

 

また、もし、東京が、観光に力を入れてやっていく、ということだったら、上に書いたことを、本当にやっていかないと、結構難しいと思う。

今は、お金の流れを見ても、IT産業に投資し、モノ作りは投資されない、という傾向がある。

わたしが思う、日本の売りは、日本製品の安いが高品質ということだったと思うが、それももう中国や韓国、ほかのアジア諸国に抜かれてしまっている。

ITについては、日本語対応しているもののは、海外では売れないし、観光には関係がないし。

 

 

東京がどうなるのかは、地方にとっても、影響があることだから、いろいろと心配になる。

もしよければ、地方の観光地のやり方を、ちょっと知ってみるというのは、いい方法だと思う。

 

長野県は、それでも、オリンピックの後遺症からうまく立ち直ったほうだとは思うが、ずっとしんどかった。